【Web制作などの依頼で「概要」しかわからないのに「とりあえず見積が欲しい」と言われたとき、私はこんなことに気をつけています】

どうもです。いきなりですが、私は毎年この年末から来年の3月末あたりまで、段階的に仕事周りが騒がしくなって来る時期だったりします。決算期の都合もあるんでしょうかねぇ。似たような状況の方も多いのではないかと思います。ほんと、最近依頼が多いです。

ところで、仕事の依頼があるって嬉しいことです。

普段あまり交流のなかった方から突然の依頼や、または、人づてで紹介を受けたりなど。紹介を受けるってことは「仕事ちゃんとしてくれるよ」ってのを認めてもらえた証拠だと思っています。本気でうれしいです。

と、ここで「依頼」についてちょっと掘り下げたいな~と思いました。本題に入る前に、少しだけ前置きにお付き合いくださいますと幸いです。

・・・「依頼」っていろいろありますね。

「ハマる依頼」ってのが存在する

ものすごい自分に「ハマる依頼」だったり、その逆「ハマらない依頼」だったり。

自分にとって「ハマる依頼」ってのは、やや感情論的な表現ですが、依頼する方の取り組む「姿勢」や「熱意」。つまり、どれだけ「本気なのか」がしっかりと伝わってくる「依頼」。

これなんです。まあ単純に言うと「人」で見ています。そんな「ハマる依頼」をいただいたときは、その依頼した方が、どれだけWebの知識があろうがなかろうが、一切関係ないです。「万歳!大丈夫!安心してお任せくださいよ!」って感じですね。

対して、そうじゃない場合もあります。

「ハマらない依頼」は肌で感じ取る

たとえば下のような感覚、制作側としている方は体験したことはありませんでしょうか。

  • 最も安く、都合よく動いてくれる業者を探しているっぽい
  • フリーや個人事業主は、安くやってもらえると「最高に、大きく、甚だしく勘違いしている」っぽい
  • 「値踏み」をするため、とりあえず的に声がかかったっぽい
  • なんかコンペ的なノリの入札案件の舞台に、無理矢理上げられてしまったっぽい

・・・「ぽい」の部分を太字にしたのは理由がありまして、この感覚は結構大事だと思います。私は「ハマらない依頼」の声がかかった瞬間、だいたいわかります。なんか「変だな~」と感じた「直感」ってのは結構信じていいと思っています。

そういえば、私の周りで普段交流している同業者の方は「直感」は鋭いですね。「この依頼はないよな~」って感じで、同業者同士、お互い話せる範囲で情報交換は密にしています。まあそういった感覚は、個人・法人問わず、当然持っていないと・・・ってのはあると思いますけどもね。

「ハマらない依頼」の「本質」とは

ところで自分は、具体的にどういうところで「ハマらない依頼」って決めてるんだろう?つまり「ハマらない本質」はどこかと、ちょっと考えました。私は「値段」に見え隠れする「姿勢」や「熱意」だと思います。その依頼者が、どれだけ真剣に取り組もうと思っているのか。それがある程度「値段」に表れてくると思っています。

念のためですが!例えば値段が安いものは全て「ハマらない依頼」というわけでもないです。この点は、可能であれば誤解いただかないように願うとして・・・「値段」だけでは見抜けない、「ハマらない依頼」を確認する方法として、私は以下のことに気をつけています。

長々と書きましたが、ここまでが前置き、ここから下が本題です。

制作者と共に作り上げようとする「姿勢」は見えるか

「見積もりしてくださ~い!」みたいな一声で、声がかかったとします。あ、どうも。わかりました。ではどんなことがしたいのか、お伺いしてもいいですか?と、ここで、私が質問します。その時、あれやこれやと返答をいただくことがあります。ここで、返答が曖昧であればあるほど、何も決まっていないですね。

まあ別に決まっていないこと自体は全然OKなんです。それをちゃんと整理するのが役目ですのでね。。。例えば・・・あるWordPressで作られたWebサイトを「リニューアルしたい」とします。で、漠然と以下のようなことがしたいとします。

  • デザインをキレイにしたい
  • 見た目を整えたい
  • ページを新しく作りたい
  • お問い合わせフォームが欲しい

上記は「概要」ですよね。もっと具体的にどうしたいのかを聞き出さないといけないです。

例えば・・・

  • デザインをキレイにしたい → 具体的に、どうキレイにしたいのか案や参考サイトはありますか?
  • 見た目を整えたい → どの程度整えればいいですか?
  • ページを新しく作りたい → ページ数や具体的な内容は決まっていますか?
  • お問い合わせフォームが欲しい → 問い合わせ項目は決まっていますか?

ホントはもっとありますけど、端折って一部です。この内容はともあれ、概要だけでは思ったとおりのものはできないので、これは依頼側・制作側での共同作業となります。ディレクションってやつですねぇ。また、制作側としては、依頼側が全く想定していないような、いろいろなことをあらかじめ伺っておくことも必要じゃないかと思います。

例えば、

  • WordPressの標準インストールにない機能を盛り込む場合は、プログラミングする必要があります。そんなのって今回ありそうですかねぇ?
  • 今、「レスポンシブWebデザイン」ってのが流行ってますけど、これこれこういう感じですけど、やりたいっすかね?今のところあんまりオススメしないっすよ。ああやって、こういう場合は有効ですけどね。
  • 納期は仕様が確定する時期や、正式受注する時期によって前後する場合がありますが、ご了承ください。
  • 修正は修正依頼日を設けます。そこでまとめて依頼ください。計○回の対応をいたします。その後最終確認いただき、問題なければ納品となります。

みたいな。依頼者側はわからなくて当然ですので、こういった+アルファの提案は当たり前のことですがね。と、依頼者に対していろいろと質問責めっぽくなっていますが、この時点のやりとりで、ある程度今回の依頼が「ハマる」か「ハマらない」かが見えてきます。

やっていることは単純で、見積もりをするために、「作業内容をお互い確認して作業範囲を確定させているだけ」なんですが、この作業内容を決める工程を一切すっ飛ばして(ちゃんとここまで説明した後に、多少食い気味に)「概要出してるから、そこから見積れないの?」みたいに聞かれる方がいらっしゃいます。

「えっ・・・今までのやり取りは一体・・・?」みたいになることがありますが、とても注意が必要です。つまり、一緒に作り上げるものであるという「姿勢」が見えないんですね。これは私的には「ハマらない」なぁ。。。

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ちなみに私のお客さんの「ハマる」例を挙げますと、最初はほとんどWebの知識がない方もいらっしゃいました。本当に漠然と、「自分の会社のWebサイトが欲しい」ということだけ、強く持っていらっしゃいました。(今はWordPressも難なく扱えるほどにスキルアップしています)依頼してきた当初は、検索エンジンから私のブログにたどり着き、お問い合わせフォームから、なんとか自分のWebサイトを作りたい、かっこよく作りたいという思いだけで、私に必死になって伝えようとしている「姿勢」はとても印象に残っています。さっきも連絡取り合っていました。

本気なら、そこまでやるはずなんです。

ですが、すっ飛ばされた感じで、「見積もってくれ、見積もってくれ」と言われる場合もあります。こちらも機械ではない人ですので、なんだか今までのやりとりが無碍にされちゃった感がありますねぇ。でも、そこまで言われるなら・・・見積もりします。

ということで、以下私が「概要」から見積もりをする方法で、困ったときはよくやります。

「作業概要」しかわからないなら、「概算見積」を出そう

依頼者が決裁権のある上長に稟議を上げるのか・・・状況は様々ですが、とにかく見積もりが欲しいパターン。こういうのはあります。とりあえずの値段感覚を、知りたいのでしょうかね。過去会社時代で経験があるので、なんとなく理解できます。今思えばとても意味のないことですな。

「こういうの作ったら世間的には、いくらくらいなんでしょうか~??」

みたいな・・・概要で見積を依頼している例。度々あります。・・・その時は「概算見積」を提出しましょう。

概算ってのは「おおむねの計算」とか「だいたいの計算」って意味です。

とても曖昧なものです。

「概算見積」の算出はこうやってます

私がやる「概算見積」の算出方法は、いくつかありますが、今の時点でわかっている「概要」から想像する作業項目をざっと洗い出し、それぞれ、どれくらいの時間でできるかっていう工数を計算しています。(かかる時間=お金)に換算すれば、算出できるはずなので、「これくらいかかるな~」みたいな値段を提示します。で、概算見積もり提出と併せて、重要な下記ことを依頼者に伝えないといけないです。

「これは『概算』ですので、作業の内容や範囲が確定した時点で正式に見積もります。」

「確定した作業内容によっては概算見積よりも値段が変動する場合があります。」

「いや、確実に見積の値段は変動します。」

上記は見積書の備考欄に記載するのが良いと思いますね。跡にも残りますし。で、気になった方もいらっしゃると思います。

「見積もりの値段が確実に変動するのになぜ、概算見積をする必要・意味があるのか」と。

疑問はその通りで、意味はないんです。だって値段変わりますからねw

ですが、必要な場合はあります。

それは先ほども書きましたが上長などに稟議を上げるためだけの書類だったり。「なにそれ?」って思われる方もいらっしゃると思いますが、そこは敢えて深く書かず・・・大人の事情的なものも多少は存在しているって感じです。

概算見積から正式に見積り、そして受注。これは、たまにある

概算見積は出しましたが、もちろん、概要しか決まっていないので、概要だけでは思い通りのものは絶対に作れないので、

  • 後日ちゃんと「打ち合わせ」をして、
  • 作業内容を確定させて、
  • 正式な見積を提出して、
  • そして受注・作業開始!

とそんな流れです。で、ここで「打ち合わせ」まで段取りを進められたら、まだ依頼者側の「姿勢」はある程度伺えます。逆に、概算の時点で「高い」などと言われたなら、本気モードで注意です。いわゆる概算でしかないものに「値段交渉」の要求が来るパターンです。

概算の時点で「値段交渉」を要求された場合、「概算ですので、正式に作業内容を決めて見積りをするとまた値段は変わると思います。」と、それ以上は答えないことにしていることが多いです。

ここで、その後の連絡がなければ、まあ今回は縁がなかったと言うことですね。・・・でも、例え仕事にならなかったとしても、最低でも結果は知りたいなぁなんて心情はありますけどね。そういった「今回は駄目でした」連絡があれば、まだ気にかけてくれたんだって「姿勢」はうかがえるじゃないですか。だから、今後もどこかでまた機会があれば!みたいに思います。

正当ではないと思う値引き(値段交渉)には「応じない」を貫く

いや~、これ昔から違和感ある値段交渉のパターンなんですが、「実は、他社で上司が勝手に見積もりをしたみたいで○○円って言われて、値段何とかならないかと思いまして」というよくわからない連絡をいただくことがあります・・。

えっ・・・?他社は、他社ですよね。

他社の見積もりに併せて値段を下げる必要なんて、一切ないです。値段を下げて欲しいと言われたら、「じゃあ作業項目も削ります」と私は答えています。

とても違和感がある「相見積」の1例

ところで、この「他社の見積もりで○○円だったから、下げてくれないか・・・」のくだりって、普通に違和感あります。

例えば、他社の見積もり内容も包み隠さず見せてもらえるのであれば、まだ検討してみます!と考えたりもあるかな~なんて思いますがね。

でも、「他社で見積もりをした結果○○円だった」という事だけは私に伝えて、その詳細(要は、作業項目と値段)を証明するものを明らかにできないのも、おかしいですよね。このあたりに、私がとても重視している依頼者側の「姿勢」が問われていると思います。

目先の利益に惑わされない

私たち制作側も「目先の利益を得るために、安易に値段を下げないほうが良い」と思っています。他の案件や見込み客に向けて営業するほうに注力したほうが、何倍も効率的だと思います。

巷でいろんな方がおっしゃっていると思いますが、安易に値段を下げてしまうと業界の単価を下げてしまい、自らの首を絞めています。また、低い値段で請けた仕事は、「本来ならばこれくらいの値段なんだよな~」といったモヤモヤとした思いがどうしても残ってしまいます。いつまで経っても「溜飲が下がらない」って奴ですよ。

変わって依頼者側では、こんな声を聞いたこともあります。

「うちのWebサイト、業者値切って○○円でできちゃったよ」

みたいな。これぞわけのわからない自慢。自社のかけがえのない大事な情報を安く掲載してもらって、嬉しかったですか。

私は少しだけ悲しいな~・・・なんて思いました。

依頼側の予算がわかった!そんな時の見積りの出し方

依頼側とやりとりをしていて、予算を聞き出せたとします。例えば「30万円」。「30万円」でWebサイトをリニューアルしたい気持ちがある、と言われたとします。普通にWebサイトを一つ作られた方などはピンと来ると思いますが、「30万円」でできることって、結構制限されます。

もし、「30万円」でテンプレートをパッケージ化して、ヘッダーとナビゲーションと色を変えて量産しているような、どれも似たようなサイトが出来上がってしまうようなものを利用しない限り、「格安」ですね。くれぐれも「安かろう、悪かろう」にならないことを祈るばかりです。

というわけで、例えば予算「30万円」と言われてしまった場合。この場合、先ほどの「概算」で見積った方法で、(時間=お金)に換算して、作業項目を減らしましょう。どんどん、どんどん減らします。間違っても、見積もった値段から「出生値引き○%」とかしないようにします。

業界の単価は、自分の技術的価値は、決して下げないようにしています。

その依頼者は「決裁権」があるのかどうか

大事なのが、この「決裁権」について、です。決裁権というのは、その仕事を「この値段でOK。この業者に制作を発注しよう!」と、意思決定できる人のことをここでは指します。依頼側で多いのが「うちの上司ができる人探して来い、って言うもんで・・・」なんて言われてしまって、とりあえず的に探しているパターンの方。

そんな場合、「決裁者はどの方でしょうか?」と伺うのがベストです。

なぜ「決裁者は誰か」を伺う必要があるか。とても単純に表現するなら、決裁権がない方の「妄想」に振り回されないための施策です。・・・すごく乱暴な表現をしますと、決裁権がある方の「ツルの一声」で状況が180度変わってしまうような、そんな方からの依頼なら、ハナから決裁権のある人に直接お会いする機会を取り付けましょう。それができない場合、受注確度としてはとても低い経験を持ちます。少なくても私は、そういったケースではあっさり身を引きますね。

まとめ

ここまで長々と書きましたが、今までこういった話題は、ネットなり書籍なり、同業者同士の飲みの席なり、そこかしこでされていますね。なので、敢えてこういったことを書く必要あるかな、と少し考えましたが、私のような個人でお仕事をしている方で、似たような立場の方もいらっしゃることが、最近とてもよくわかりました。それならば、私は「普段こう考えてますし~」みたいな表現は、あったほうが良いのではないかと思ったので、書きました。

どこかの制作会社にいらっしゃる方、個人でやっておられる方、またはそんな業者に依頼される方々。

私は全ての立場を経験して、現在進行形としてこのような考え方を持っています。今回はなかなか勢い付けて書きましたので、表現の統一や、荒削りなところ、「おい!ちょっとまて」みたいな突っ込みどころもあるかと思いますが、それはそれで、今後自分の取り巻く環境や、心境の変化などの移り変わりで変わるかもしれないですね。

もしかしたらこう書いている瞬間にも考え方は少しずつ変化しているのかも。ですが、人と人との関係があって、仕事が成立していると思っています。当たり前のことかもしれませんが。。こんな当たり前のことは、これからも変化も訂正もしちゃいけないことだなぁなんて、改めて思いました。

終わりに。

私が仕事をする上でもっとも重視する点は、熱い部分を持って仕事を「依頼」をしてくれるかどうか、だ。熱い部分ってのは、文章や言葉なら表現の「うまさ」ではなく、いかに「こうしたいんだ、ああしたいんだ」と、伝えようとしているかという「姿勢」から、そこはかとなく感じ取ることができる。また、そんな「姿勢」が「値段」にも深くかかわると思っている。知識はぜんぜんなくてもいい、何もわからなくてもいい。想像している予算が、とても低くてもいい。そこからがスタートでもちろんOKで、一緒に決めていきましょう。いいものを絶対に作りましょう。って感じの認識を少しずつ合わせていけたらいいな、と思います。

対して、「この依頼の流れって、なんだかおかしくないかなぁ・・・」と少しでも感じたときに、なるべく早期に判断ができるような方法を、自分流ですが今回書きました。お仕事の「依頼」をいただくこと、どんな「依頼」であれ、声がかかるのは大変に光栄なことだとは思います。だだそこには、やっぱり自分のスタイルに「ハマる」「ハマらない」ってあるんじゃないかな、と。ここ最近のさまざまな形の「依頼」、また、自分でこうやって文章に書き起こしてみて、改めて感じています。

著者:bouya Imamura