WordPressでECサイトが構築できるWooCommerceプラグインの特徴の一つといえば、豊富な決済サービスがあることだと思います。
特に、オンライン決済サービスが使えるのはいいですよね。オンライン決済サービスの中には、お客さんのクレジットカード情報など、決済に関わる大事な情報をお店側に知らせることなく商品を買うこともできるので、かなり強みだと思います。
お店側の立場としても、セキュリティーや個人情報の保護などの観点から「お客さんの情報をお店側で抱えるのは必要最小限でいい」と考える方も多いのではないでしょうか。私はそんな考え方寄りです。
というわけで、そんな便利なオンライン決済サービスの一つがPayPal(ペイパル)での決済です。
今回は、WooCommerceでPayPalの決済機能を使用する方法について書きました。興味のある方はご参考ください。
WooCommerceでPayPalの設定をする方法
WordPressの管理画面から「WooCommerce」→「設定」を選択します。
次に「決済」タブを選択します。
決済の種類の一覧が表示されるので、PayPalにチェックが入っていることを確認して「管理」ボタンを押します。
ちなみに、上の画像には「PayPal Checkout」の設定もありますが、今回設定するのはPayPalです。もし「PayPal Checkoutの解説してほしい!」という需要があれば、また別の機会に記事を書こうかなと思います。
PayPal基本設定
PayPalの設定画面に移動するので、今回は必要最小限の設定のみ解説します。
まず「PayPal Standard を有効化」にチェックを入れて「タイトル」「説明」「PayPalメール」を入力します。
タイトルと説明ってなんですか?
入力した「タイトル」と「説明」は、下の画像のように商品をカートに入れて、決済方法を選択する際に表示されます。この後に解説しますが、サンドボックスを有効にしていた場合はサンドボックス適用時のテキストが追加されます。
PayPal サンドボックスを使って受注テストは必ずしよう
次に、PayPal サンドボックスの設定をします。
PayPal サンドボックスとは?
本番環境でいきなりECサイトを運用するのって結構勇気がいると思います。例えば、商品を購入できなかったり、注文メールがお客さんに届かなかったりすると大変ですもんね。そんな時に使えるのがサンドボックスで、「問題なく決済ができるかどうか検証をするために、PayPalが用意したテスト環境」という理解をすれば大丈夫です。
というわけで「PayPal サンドボックスを有効化」にチェックを入れます。テストで商品を購入し、受注管理をしてみましょう。動作上問題なければ、サンドボックスのチェックを外して本番環境に移行することを強くおすすめします。
サンドボックスを有効化している時は、ログも残しておこう
サンドボックスのチェックに合わせて、ログの記録もしておきましょう。「ログを有効化」にチェックを入れます。ログには注文情報が書かれていますので、テスト運用中に何か問題があれば、エラー内容などが記録されていることがあります。ログは問題解決の手がかりにもなりますので活用しましょう。
テスト運用後は、本番環境に移行する前に「ログを有効化」のチェックを外し、テストで作成されたログファイルそのものをを削除しておきましょう。
PayPalのテスト用のアカウントを作ろう
PayPalのサンドボックスを使ってテストを行う場合は、本番環境で使う予定のPayPalアカウントを使うのではなく、テスト用に使用するアカウントを作成しましょう。
というわけで、ここで一旦、PayPal側の画面を操作します。「https://developer.paypal.com/」にアクセスして「Log into Dashboard」ボタンを押します。
PayPalアカウントでログインします。
PayPalのデベロッパーサイトは、PayPalアカウントを持っていればログインできます。もしPayPalアカウントを持ってない場合は、「PayPal(ペイパル)アカウントを新規登録する方法」を参考にして、新規登録をしましょう。
アカウント作成
PayPalのデベロッパーサイトにログインしたら、「Accounts」を選択します。
下の画像のように、サンドボックスで作成されたアカウントの一覧が表示されます。「Create Account」ボタンを押しましょう。
Countryを「Japan」にしておきます。
アカウントタイプの設定
このアカウントタイプの設定は重要です。売り手と買い手のアカウントを1つずつ作成しましょう。
売り手、買い手という言葉に慣れない方もいらっしゃると思います。以下の表にまとめましたので、ご参考ください。
アカウントタイプ | アカウントの用途 |
Personal | 買い手(お客さん側)アカウント |
Business | 売り手(お店側)アカウント |
というわけで、アカウントをそれぞれ作成しましょう。メールアドレスは任意でOKですが「Personal」「Business」ともに、テストといえど実際に送受信ができるメールアドレスにしましょう。テスト用の受注メールなどを受け取るために必要です。
次に、支払いに関する情報を設定します。仮想でPayPalの入金額、クレジットカードの番号なども設定できます。
アカウント一覧に「PERSONAL」「BUSINESS」が一つずつ作成されていればOKです。
API情報をメモしよう
売り手(BUSINESS)用のアカウントを選択して「Profile」を選択します。
Account Detailsの画面が表示されますので「API Credentials」のタブを開きます。この時、画面に表示される「Username」「Password」「Signature」をメモしておいてください。後で設定します。
通知設定は気をつけよう
次に、注文の完了やキャンセルによる払い戻しの操作をした際などに通知する方法について設定します。
IPNメール通知とPayPal ID トークンの設定は注意
IPN メール通知とPayPal ID トークンを両方設定した状態で注文が入ると、2通同じ注文完了メールがお客さんに届いてしまいます(私が検証したときは起こりました)。
同じメールが届いてしまうと、お客さんの立場からすると混乱を招いてしまいますので、どちらか一方のみ設定してください。私の場合はIPN メール通知設定のみチェックをつけました。
「受信者メールアドレス」には、先ほどサンドボックスで作成した売り手用のアカウントを設定します。このメールアドレスが間違っていると、商品を注文しても「ステータスが保留中になって決済が完了できない」などの不具合が起こります。
APIの設定をする
最後にPayPalのAPIの設定をします。
下の画像ではサンドボックス用の入力欄が表示されていますが、サンドボックスを使用しているかどうかで入力する値が違います。今回はサンドボックスを使用します。
先ほどメモをしたAPI Credentialsの値を入力しましょう。
- サンドボックス API ユーザー名 → 「Username」
- サンドボックス API パスワード → 「Password」
- サンドボックス API 署名 → 「Signature」
をそれぞれ入力します。
以上で設定は終わりです。これでテストで購入したり、受注管理をすることができます。商品をカートに入れて、PayPal サンドボックスを使って決済してみましょう。
テストで PayPal 決済するとこうなる
通常通り、PayPalで決済できます。
受注管理もできる
PayPal 決済後、WordPressの管理画面から「WooCommerce」→「受注」を選択すると、テストで購入した注文データが自動で入ります。
メールも届く
商品を購入したお客さんにもメールが届きます。
まとめ
このページの解説で特に難しいところは、以下の3つだと思います。
- PayPal サンドボックスの利用
- PayPal のテスト用アカウントを「買い手(お客さん側)」「売り手(お店側)」それぞれ1つずつ作成
- 売り手アカウントのAPIを設定する
初めて設定する方はかなり操作に戸惑うと思いますが、慣れればなんとでもなります。テストで決済をしているので、実際に金銭の授受が発生するわけではないので、失敗しても大丈夫です。うまくいくまで挑戦すればOKです。
今回は、WooCommerceのPayPalの設定を必要最小限にして書きましたが「とりあえずテストでPayPalで決済してみたい!」という方のご参考となりましたら幸いです。
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